公正証書作成のすすめ
口約束は災いの元
離婚件数の約90%は話し合いで 決着をつける協議離婚です。
協議離婚は、最も簡単な離婚の方法
ではありますが、口約束のままだとせっかく
決めた慰謝料・財産分与・養育費
などの約束も後々「言った、言わない」
ということになる可能性が高いと言えます。
例えば、公正証書や離婚協議書にしなかった場合、養育費を滞納割合は、
68.1%と非常に大きな数字となっております。
このようなことを防ぐためには、約束した内容を
「離婚協議書」という書面に残しておく必要があります。
離婚協議書という契約書を作っておけば、
少なくとも「言った、言わない」ということを防ぐことができます。
お問合せ
心理的なプレッシャー
また、離婚協議書があることにより「相手に守らない」
といけないという心理的なプレッシャー
を与えることができます。
さらに、離婚した後に
「もっと財産分与をしてくれ」とか
「やっぱり慰謝料を請求させてもらいます」
などの要求が来ることも、
離婚協議書を作成しておけば防ぐことができます。
お問合せ
通常の離婚協議書の問題点
調停や裁判では、決まったことを守らなかったら
強制執行(簡単にいうと、決められたお金を無理やりとること)
ができるのですが、離婚協議書だけでは残念ながら、
強制執行をすることができません。
ですから約束を破られた場合は、いったん裁判を起こし、
判決をもらい、強制執行する必要があります。
とはいえ、あらためて調停や裁判をするのは、お金、時間、精神的負担がかかり、
大変な作業となります。
お問合せ
裁判無しで強制執行ができる公正証書
実は、相手が約束を破った場合に
「調停や裁判無しで強制執行ができる」
夢のような方法があります。
それは…
「離婚協議書を強制執行認諾条項入り 公正証書にしておく」
という方法です。
公正証書とは、
当事者間の法律行為や
私法上の権利に関する事実について、
公証人により作成される公文書です。
お問合せ
この公正証書には裁判での判決書などと同じく
強制執行力がありますので、離婚協議書を
公正証書(強制執行認諾条項入り)
にしておけば、
調停や裁判をしなくても財産や給料を差し押さえるなどの
法的措置を直ちにできるようになるのです。
代行人に手続を代行してもらうメリット
公正証書を作成するには、原則として夫婦そろって公証役場に行く
必要がありますが、当事務所を選択して
頂ければ、当事務所で選定した代行人が 代わりに公証役場でのスケジュール調整を すべてしてもらうことができます。
夫婦そろって公証役場に出向く必要がないので、 夫婦にとっては大きなメリットではないでしょうか。
また、当事者そろって公証役場に行かなければならないため、
日中仕事をされている方は、調整が大変になる上に、作らない期間が
長くなると、当事者の一方が心変わりしてしまい、せっかく離婚後公正証書
を作成する事に対して合意していたのが、反故になってしまう、もしくは、
取り決められていた金額が、少なくなってしまうというデメリットが挙げられます。
お問合せ
スピーディーな手続
また、「手続がスピーディーに行われる」というメリットもあります。
公証役場が開いているのは通常、
月曜から金曜の朝9時15分頃から夕方の4時30分頃までです。
日中仕事で忙しい方は、夫婦の日程調整も難しくなりますから、
公正証書の書類作成が遅れる可能性が高くなります。
「そんなに急ぐ必要は無い」と思われた方は、
今一度よくお考え直し下さい。単刀直入に申し上げましょう。
「人の気持ちは簡単に変わります」
いったん合意した後でも、
「やっぱり~だから変更したい」
とか「親や友達に相談したら~と言われたから…」
などと言われて公証役場に行って
もらえなくなったらどうなるでしょう。
そう、一度合意に至ったはずの契約は
振り出しに戻ってしまいます。
いやいや、振り出しに戻る以上に
「今より悪い条件での契約を求められる」のが普通でしょう。
突きつけられた厳しい条件のために
「離婚したくても離婚できない…」なんてことになる可能性を
考えたら
「手続をスピーディーに行うことの大切さ」はすぐにわかると思います。
お問合せ
公証人手数料の算出方法
公証役場で手続を行う際の手数料は下記の表のようになります。
目的の価格とは、その公正証書を作る目的となっているものの金額です。
例えば、慰謝料が50万円、財産分与が100万円、
養育費(5歳から20歳までの養育費と仮定)が
月々3万円とした場合の目的の価格は、慰謝料・財産分与
はひとまとめにできるので150万円。
よって公証人手数料は7000円になります。
一方養育費は、
3万円×12(箇月)×10(15年)
としたいところですが、最高で10年までしか
目的の価格
を求める上で対象にできない)=360万円が
目的の価格になり、
公証人手数料は11000円となります。
よって、7000円+11000円=18000円
(その他枚数等によって多少変わってきます)
が公証人の手数料になります。
たとえ1枚の離婚協議書でも、
養育費は目的の価格を見るうえで、別になるのでこのようになります。
|
お問合せ
直ちに強制執行のできる公正証書
離婚協議書を強制執行認諾約款付の公正証書にすると、
のちに約束した金銭の支払いが滞ったとき、
強制執行手続をとることにより、直ちに相手から養育費や
慰謝料、財産分与で約束した金額を差し押さえることができます。
給料からの天引きも可能
養育費の滞納期間分はもちろんですが、
将来の分に対しても強制執行
をかけて月々の給料から天引きすることが
できるようになりました。
養育費が最後まで問題なく支払われる
確率はおよそ3割と
言われる現状を考えると、養育費の取り決めがある場合は
必ず公正証書にしておくべきといえるでしょう。
お問合せ
公文書としての公正証書
公正証書は公文書です。
そのため、離婚後約束した内容は真正な文書として扱われます。
つまり、通常の文書に比べて信用性があるということです。
ではこの信用性があるという事に関してどの程度意味があるのでしょうか。
例えば、公正証書ではなく、通常の文書を作成した場合、
当該文書は勝手に夫もしくは妻によって作られたかもしれません。
また、文書に署名・押印などはしたが、脅されてしたのかもしれません。
このように通常の文書では後で無効となる可能性も出てきますが、
公正証書の場合は、本人確認から文書内容の確認まで厳格な手続きの下
行われます。
そのため、文書作成したのちに、無効と一方当事者から主張されても、
無効となりにくい文書形態だといえるでしょう。
以下参照判例を記載いたします。
①原告と被告は夫婦であったが、離婚に際し、公正証書により、原告は被告に対し、一時金として1300万円の支払、マンションの持分譲渡、毎月10万円の定期金の支払等を約した。
②離婚後において、借用書及び誓約書により金員の支払を約したが、公正証書、借用書、誓約書等は、いずれも被告の暴言暴力により原告が被告に精神的に支配されている状態でしたもの。
③そのため当該契約は、公序良俗(民法90条)に反し無効であるとして、原告が被告に対し、合意の無効確認等を求めた事案。
④公正証書は、その内容自体が不合理なものではなく、その成立過程を見ても原告の真意によらないものであったとは認められない等判断し、請求を棄却した事例
(平成21年 2月6日 東京地方裁判所 平19(ワ)30265号)
年金分割の負担割合は公正証書に
また、年金分割の負担割合の合意は
裁判所の書類か
公正証書でないといけないということに
なっています。
年金分割の割合を定める必要がある方
(通常は奥様)の
多くは、受取額の最上限
である50%を確保したいと
お考えでしょうから、
その旨の合意を相手方から引き出し、 公正証書にしておかなくてはなりません。
強力な証明力
さらに、公正証書には強い証明力があります。
例えば、5月に通常の離婚協議書で養育費の
取り決めをしたとします。
その後すぐの7月に養育費の
増額を求めて調停が起こされた場合、
証明力の弱い
通常の離婚協議書だと、養育費の増額の方が
認められる
可能性(審判が出される可能性)が
高くなります。
逆に、公正証書の離婚協議書だと
「増額を求める確固たる正当な理由」
がない限りは、
まず増額請求は認められないと考えられます。
お問合せ
心的圧迫による滞納率の低下
あと、もう一点。
離婚協議書を
公正証書にすると
「強制執行されたらたまらない」
というのもあってか、
養育費等の金銭の滞納率は
グンと下がります。
人間心理として当然ですね。
また、仮に強制執行するような事態になったとしても、
公正証書があり、相手方の勤務先が分かれば、強制執行の方法は簡単にできます。
また、ほとんどの場合、強制執行を行うための手続きをし、その過程で会社に強制執行の一式書類が届くのですが、当該書類が届けれた時点で、
会社の上司などから怒られ、今まで全く支払ってくれなかった人が素直に支払いに応じる傾向にあります。
離婚協議書はできることなら公正証書にしましょう。
以下、当事務所にご相談される場合の方法及び離婚に伴う公正証書を作成された方
の失敗段を①、②に分けて掲載いたしました。
お時間がございましたら、ご覧頂ければ幸いでございます。
公正証書の具体的な手続き方法
公正証書に関する失敗事例集①
公正証書に関する失敗事例集②
ご相談・お問合せ
戻る