離婚と民法

民法第1条

私権の享有は、出生に始まる。

該当項目
①胎児と婚姻費用
婚姻中の婚姻費用に関して、妻のお腹に胎児が居る場合、通常は、本条項により、
婚姻費用算定表において考慮することはできないが、 出生予定年月日などを
記載すれば、婚姻費用算出において考慮してもらえることがあるので、
公正証書を作成しようとした場合には、公証人と相談を一度されることをお勧めします。

第90条(公序良俗)

公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は無効とする。
該当項目
①養育費「0」規定
養育費を「0」とする定めは、例え、子供の法定代理人に両親がなっていたとしても、
かかる公序良俗違反に抵触する恐れがあります。
もっとも、自宅に離婚後も子供とその妻が住み続ける事案の場合、自宅に
ローンが残っているということはよくある事であり、ローンの支払いに加えて
養育費を支払うことが必ずしも現実的でない場合もあります。
そこで、そのような場合、養育費の負担割合を元妻:元夫=100:0にしたとしても、
公序良俗に反しないと考えられます。
②違約金の定め
浮気相手との密会や面接交渉の不実行など、ある程度罰則的な規程がなければ、
守られない場合がある。
そこで、違約金を定めることにより、定めた規定を遵守してもらいやすくする。
もっとも公正証書にする場合には、違約金の定めを記載したがらない公証人が
数多くいるため、下記のような具体例を例示しつつ、記載していくことが好ましい。
具体例
月極めの駐車場に契約者以外の車が勝手に停まってしまうと、一回につき、
金3万円とするという規定。がありますので、それと同じように規定していくことは
できないでしょうか? など。

民法95条(錯誤)

意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。
但し、表意者に重大な過失があったときは表意者は自らその向こうを主張する事が
できない。


該当項目
多額の不動産を財産分与すると譲渡税がかかってくる場合があります。

そのような時に、当該財産分という法律行為自体を民法95条によって、
無効主張できるかどうかが問題となります。

一般的には、当該課税がされる事を知っていれば、財産分与をしなかった
という関係は動機の錯誤であり、法律行為上の錯誤ではなく、
内心的効果意思と表示に不一致はないとされています。

しかし、往々にして錯誤とは当該動機の錯誤の部分を多く占めるため、
以下の条件を満たせば無効主張可能です。

①財産分与する側が課税されないこを相手方に黙示的に表示していた場合。
②知らなかったことに対して、重大な過失がない場合
には財産分与という法律行為を無効とする事ができる。
上記①,②に該当するか否かは個別具体的に判断する必要がある。

第91条(任意規定と異なる意思表示)

法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を
表示したときは、その意思に従う。
該当項目
①夫婦間の契約の取消権(754条)と関連して、婚姻中にご主人の浮気が原因で
奥様がご主人に対して慰謝料が発生し、それを公正証書などの文書にした場合、
かかる規定の為、取り消されてしまっては、公正証書にした意味がなくなります。

そこで、第754条の取り消し権を制限する方向、つまり、第754条の取り消し権を
行使することができなくするための一文を盛り込むことは可能か否かを今後検討
していく必要があります。

争点としては、取消権の制限が「公の秩序に関しない規定」でなければよい。
そもそも、かかる規定が制定されたのは、夫婦間では、他人間とは異なり安易に契約を
締結する事が多いため、取消権は通常制限(民法120条等)されているが、例外的に、
創設した規定です。

そうだとすれば、安易に契約を締結していなければ良いのであり、
通常公正証書まで作成するということは、安易に契約を締結してはいないと
考えられるため、民法754条は制限されないと考えられます。

第127条(条件が成就した場合の効果)

1 停止条件つき法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2 解除条件付法律行為は解除条件が成就した時からその効力を失う。
3 当事者が条件を成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる
意思を表示したときは、その意思に従う。
該当項目
離婚に関しては、身分行為であるため、そもそも条件に浸しまない所があります。
例えば、婚姻中にも関わらず、2年後離婚をした場合の、財産分与・慰謝料などの
定めを行うことはできないと考えられます。
作成するにしても、確認的な意味で将来当事者間で争いが生じないようにしておく
必要性があります。

第137条(期限の利益の喪失)

次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
1 債務者が破産手続きの開始の決定を受けたとき
2 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき
3 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき
まず、期限の利益とは何か?
ということであるが、一括では支払いきれない金額を分割払いで支払っても
良いということを期限の利益という。
そして、その利益は債務者にあると考えられます。
ここで、債権者は一括でもお金などをもらえたところ、
それを分割払いにしているのだから、債務者において、不誠実あるいは
支払いが滞りそうな事態が生じた場合には、一括して支払いを
請求できるという規定です。
もっとも、契約書に記載するには上記の条文以外にも以下のような記載も
盛り込む場合があります。

第*条(期限の利益喪失)
甲は,第*条の債務について次の場合には期限の利益を失い残存する債務の
全額を直ちに支払う。
(1)分割金の支払を1回でも遅滞したとき
(2)他の債務のため,強制執行・執行保全処分を受け又は競売・破産手続開始・ 民事再生手続開始の申立てがあったとき
(3)公租公課の滞納処分を受けたとき

第6章 期間の計算

第139条(期間の起算)

時間によって期間を定めたときは、その期間は即時から起算する。

第140条

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、参入しない。
ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
*初日不算入の例外
戸籍法43条(届出期間の起算日)
届出期間は届出事件発生の日からこれを起算する。

第141条(期間の満了)

前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。

第142条

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の
休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、
その翌日に満了する。
*返済期日が、「毎月X日」と定められた場合、X日が日曜日その他一般の
休日にあたるときは、特段の事情がない限り、その翌日の営業日を返済期日
とする旨の目次の合意があったと推認される(最高裁判例平成11年3月11日)
(*模範六法参照。)

第3節 消滅時効

第166条(消滅時効の進行等)

1 消滅時効は、権利を行使することができるときから進行する。

第167条(債権等の消滅時効)

1,債権は、10年間行使しないときは、消滅する。
2,債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。

第169条(定期給付債権の短期消滅時効)

年またはこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。
該当項目
養育費
「請求しうる地位」と「債権」の違いに関して。
「養育費を請求しうる地位」について。
→決して時効にはかからない。
EX①、「養育費には時効がないので、10年後20年後でも請求できる。」
EX②、「養育費には、請求期限や時効はありません。扶養が必要な時期、
つまり"働いて経済的に自立するまでの間であれば"、いつでも請求できます。

「養育費の債権」という観点に関して。
→時効にかかる。
年払いや月払いの約束をすれば定期給付債権として5年の時効にかかる。
たとえば2年ごとの支払なら「年又はこれより短い時期によって定めた」という
定期給付債権の条件に当てはまらない。
ゆえに時効期間は10年である。
EX①「毎月ナンボという形で養育費の支払約束をした場合は、毎月毎月
発生する12万円という具体的な債権(定期給付債権といいます)は、
支払時期が経過した後5年間放って置くと時効期間が経過してしまいます。」

EX②「養育費の消滅時効期間は10年(民法167条1項)」
養育費を「債権」と考えるもので、相手が5~10年の間1度も請求をしなければ、普通の債権と同じように時効が消滅します。

未払いで相手側が1~5年の間に1度でも請求を続ける間は、時効が成立しないので、
時効は普通考えられません。 何時消滅するかは「毎年○○円」と云うように年ごとの場合は10年で、
「毎月○○円」のように月単位ならば5年です。
EX、「子供が20才になるまで毎月末日翌月分として5万円とする。」と云うような約束で、先月末日の分が遅れたならば先月末日から5年で5万円だけ時効が成立します。
後の分は、未だ支払日が来ていないのですから時効の成立はありません。

第404条(法定利率)

利息を生ずべき債権については別段の意思表示がないときは、その利率は、年5分とする。

第3款 連帯債務

432条(履行の請求)

数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行の請求することができる。
該当項目
マイホームを購入した際、ご主人がローン契約における債務者になる場合が主であるが、合わせて奥様も連帯債務者として、 ローン契約を締結している場合の説明の際に用いる条文である。
基本的には、離婚が成立したとしても、ローン会社との関係は、婚姻中と同じように継続し、ご主人と同じように請求されるという事を認識してもらう必要がある。
離婚が成立しても当然のように、ローンの債務者から逃れられるわけではないことに注意が必要である。

  

第4款 保証債務

454条(連帯保証の場合の特則)

保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前2条の権利を有しない。
該当項目
ローン契約などで多いのがこの連帯保証人。
ローン会社との関係では、ローンの債務者とほぼ同じ地位にある。
(*催告の抗弁権(452条)、検索の抗弁権(453条)がないことに注意)
また、ローン会社は容易にはこの連帯保証人から抜け出させてくれないので、なっている場合は、他に資力ある関係者を代わりに連帯保証人にする必要がある。

456条の2(貸金等根保証契約の保証人の責任等)

一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という)がふくまれるもの(保証人が法人であるもの除く。以下「貸金等根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他の債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

465条の3(貸金等根保証契約の元本確定期日)

1 貸し金等根保証契約において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日よりあとの日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。
2 貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。
該当項目
ローン会社との間で連帯保証人でもなければ、連帯債務者でもないが、根保証契約を行っている場合がある。
そのような場合には、根保証契約の期限がいつまでに終了するのかを契約書などでチェックをしておくこと。
極度額によっては、離婚に踏み切れない場合があるので、慎重に判断をしてください

505条(相殺)

2人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対等額について相殺によってその債務を免れることができる。
ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。
該当項目
ご主人の奥様に対する慰謝料請求と、養育費とは相殺できるのか?
今回の場合、
奥様→ご主人(に慰謝料を負っている。)
ご主人は→子供に(養育費支払債務を負っている。)
という状態であり、
債権・債務を負っている当事者が異なる為、 相殺はできません。
なお、仮に、当事者が同じであったとしても、養育費を相殺する事は事の性質上できないと考えられています。

601条(賃貸借契約)

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことをやくするによって、その効力を生ずる。

612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

1 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第3者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
該当項目
1、使用貸借契約と賃貸借契約の違い

民法689条(終身定期金契約)

終身定期金契約は、当事者の一方が、自己、相手方又は第3者の死亡に至るまで、定期に金銭その他の物を相手方又は第三者に給付することを約することによって、その効力を生じる。
該当項目
離婚後、元配偶者に対して婚姻費用を支払うことはしなくとも良いが、それでも、離婚後生活費を確保したいというニーズがある。
そのようなケースで本規定を適用し、終身定期金契約を当事者間で締結させればよい。

民法695条(和解)

和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生じる。
該当項目
我々が作成する契約書などは全て基本的に、当条項が適用される。
そして、和解と関連して、下記のような清算条項を契約書には通常入れていくが、 その場合に、仮に清算条項を入れていたとしても、請求できる権利として、 「年金分割」がある。
これは、「当事者が」という規定において、慰謝料・財産分与などは他方配偶者への請求であるので、清算条項を記載すると再度の請求をすることができなくなるが、年金分割に関しては、厚生労働大臣に対する請求(平成22年5月30日時点)であるため、かかる清算条項によって、請求を妨げられるものではない。
清算条項の記載
第*条 (清算条項)
甲及び乙は,本件離婚に関し、以上をもって、円満に解決したことを確認し、今後財産分与、慰謝料等名目の如何を問わず、お互いに何らの財産上の請求をしない。
また、甲及び乙は、本契約に基づくもの以外互に何ら債権債務が存在しないことを確認する。
年金分割の記載
第*条(年金分割)
甲(第1号改定者)と乙(第2号改定者)は厚生労働大臣に対し対象期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合を0.5とする旨合意した。
*条
乙は、離婚届をした後、速やかに、厚生労働大臣に対し前条の請求をする。
甲(昭和  年  月  日生)
(基礎年金番号    -     )
乙(昭和  年  月  日生)
(基礎年金番号    -     )
清算条項と離婚後の財産の請求等→

710条(財産以外の損害の賠償)

他人の身体、自由、若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
該当項目
不貞行為に対する慰謝料請求は、709条ではなく、710条であることから、条文を内容証明郵便などで明示する場合は注意する必要がある。
該当判例~貞操~
人妻と貫通した者は、その夫に対し、夫権侵害による賠償責任がある(大判明36・10・1)

712条(責任能力)

未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)

前2条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第3者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、またはその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りではない。
該当項目
未成年者が浮気相手として、慰謝料請求の対象となるときがある。
その時に、未成年者と浮気をしていた配偶者の他方配偶者が、浮気相手に慰謝料請求する場合に、親の監督責任として、未成年者のご両親にお金を出させる場合に問題となる条項である。
ちなみに、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」とは、12歳前後であると言われていることから、通常浮気をするような年齢では当規定が適用される事はなく、浮気に対して未成年者が慰謝料の請求をされたとしても、親が監督責任を負うことは事実上無いと言える。

719条(共同不法行為者の責任)

1 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。
共同行為者のうち、いずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2 行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者として、前項の規定を適用する。
該当項目
不貞行為を配偶者が行った場合でかつその不貞相手が配偶者に法律上の配偶者が居ることを知って性交渉を行っていた場合には、浮気相手と配偶者とは連帯して、他方配偶者に対して慰謝料を支払う義務がある。
よって、浮気をした配偶者より相談がある場合で、浮気相手も救済して欲しい時は、浮気相手・配偶者・他方配偶者間において慰謝料に関する契約書もしくは公正証書を作成する等して配慮しておく必要がある。

724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)

不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

第4編 親族

752条(同居、協力及び扶助の義務)

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
該当項目
①別居をしたとしても、婚姻費用は収入が多い方が少ない方へ支払わなければならない。
②貞操義務は当規定により、お互いに課せられる。
→夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、他方配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務がある。

760条(婚姻費用の分担)

夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
該当項目
婚姻費用を記載した規定である。

762条(夫婦間における財産の帰属)

1 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
該当項目
①特有財産・共有財産の範囲に関して。
特有財産の場合の方が広い。
なぜなら、稼ぎに関しては、一方もしくは他方が働いているのであれば、
どちらの名義で取得したものであるかが明らかであるから。
ここでいう特有財産か共有財産という事と、財産分与とは異なる次元での話である。
特有財産でも一部例外(相続・入院給付金)を除けば、財産分与の対象となる。
②財産分与の対象に関して。
前述より、特有財産・共有財産関係なく、財産分与の対象とすることができる。
但し、特有財産中、夫婦の協力の基で築きあげた財産ではないもの(例えば相続において獲得した財産。)は財産分与の対象とならない。

766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)

1 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。
協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。 該当項目
①親権者と監護権者とは、分けることができる。
もっとも、養子縁組契約、戸籍間の移転及びその他の契約は親権者しか行う事ができないので、その点を十分に考慮して、分ける事。
なお、未成年者と養子縁組契約を結ぶ際、未成年者の親権者の他に未成年者に監護権者が定めている場合は、当該監護権者の同意も必要とする。事には注意が必要である。
参照条文:民法797条第項
②面接交渉権は当該規定により、認められている規定である。
参照条文:家事審判法54条(子の陳述の聴取)
子が満15歳以上であるときは、家庭裁判所は、子の監護権者の指定その他子の監護に関する審判をする前にその子の陳述を聴かなければならない。

768条(財産分与)

1 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、または、協議をすることができないときは、当事者は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。
ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びにに分与の額及び及び方法を定める。

770条(裁判上の離婚)

1 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することがえきる。
① 配偶者に不貞な行為があったとき。
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
該当項目
浮気
770条第1項①配偶者に不貞な行為があったときとは、世間一般にいう浮気を指す。
しかし、浮気と不貞行為とは現実には異なる。
そもそも、「浮気」は法律上の用語ではありません。
また、「浮気だ!」感じる範囲は人によって違います。
ここで、夫婦関係間においては、「貞操義務(民法752条)」がありこれを破ると貞操義務違反となります。 
そして、民法770条に規定されている「離婚原因」となる「不貞行為」とは、「貞操義務を破った者、又は高度にその可能性がある行為をした者」と定義されております。
そして、「貞操義務を破った」というのは通常、性交渉を配偶者(夫、妻)以外とするということです。
よって、浮気の数ある定義の中には当然この性交渉も入りますが、それ以外の配偶者以外の人とデートをする等も「浮気」の定義の中に入ってきます。
つまり、不貞行為をしたのであれば、民法770条が定める離婚事由に当たり離婚原因になりますが、「浮気」であれば離婚事由に当たらない場合もあります。
ただ、前述のように、「不貞行為」の定義の中には「貞操義務を破った可能性が高度にある行為をした者」例えばホテル街に入っていく二人が目撃された場合等です。
実際にホテルに入っていなくても、可能性があるということで不貞行為になる可能性があります。
②悪意の遺棄(民法770条第1項第2号記載)
a)悪意・遺棄の定義(内田民法④P117参照)
ここでいう「悪意」及び「遺棄」の定義を以下記載する。
「悪意」・・倫理的な意味を持つ、「故意」と等しい。
「遺棄」・・752条が定める同居・協力義務を履行しないこと。
以上を満たせば、当該条項に該当する。
遺棄に関しては、客観的に、別居などをすればよい為、分かりやすいが、悪意に関しては、倫理的な意味を持っている為、下記の判例・学説を頼りにしていく事が肝要である。
b)同居義務違反の者を悪意の遺棄とする方法。
同居義務(752条)に反していると、相手方から、同居義務違反に基づく審判申し立て(家事審判法第9条乙類第1号、なお、審判に関しては、非公開で行われる。)が行われ、同居義務を命ずる審判に違反して別居を続ければ、悪意の遺棄として、離婚原因となる。
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
精神病にかかり、夫婦として、破綻している必要がありかつ離婚後であったとしても、経済的な支援を行うのであれば、離婚が認められやすくなると考えられる。
(内田民法④P119参照)
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるときは、離婚事例をご参照ください。



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