婚約不履行

まず、婚約がそもそも成立しているか?
ということが問題となります。
ここで、

婚約とは

男女が誠心誠意をもって、将来夫婦になると言う予期の下に婚約をする必要があるだけであり、結納等の慣習上の儀式までは必要ありません。
もっとも、誠心誠意か否かを判断するための材料としては、将来夫婦になることを第3者が知っている状態が必要である。(公然性)
Ex,お互いの両親に挨拶をしたなど

婚約の継続を望む場合

婚約の継続を望む場合 には、
家庭裁判所の方に結婚に同意するための調停申立てが可能です。
→婚約の履行を求める調停申立てなどもあります。

婚約破棄の正当な理由とは?

婚約破棄を行ったとしても、当該行為に正当な理由があれば、
慰謝料などの対象とはなりません。
では、ここでいう正当な理由とはどのような事を指していうのでしょうか。
①相手方の性交渉(SEX)不能
②相手方が嫌悪するような遺伝性疾患又は、性病(AIDS 淋病)の持ち主であること
③精神病者(うつ病程度では当てはまらない。)
④行方不明
⑤将来の夫婦生活の円満が妨げられる事情(常に夫婦の間に母親がいるような場合)
⑥相手方の有責行為(浮気などを行った。)
⑦相手方の不誠実な行為(結婚式の日時・方法・新婚旅行の計画等)を理由も無く変更すること。
→正当な理由として認められた判例は認められなかった判例よりも少ないです。
理由は、そもそも、正当な理由があるような場合は、裁判にもならないからです。

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婚約不履行の損害額を算定する上で考慮するポイント

1、考慮するための事情

□①婚約当事者の年齢
□②性別
□③相手方の社会的地位
□④相手方の資産
□⑤相手方が破棄した理由
□⑥当事者が婚約破棄に至るまでの経緯
□⑦破棄の時期(一般に婚約してまもなくであれば損害は少なく、挙式直前であれば 損害が大きい)
□⑧婚約破棄の方法(一方的に電話もしくは電子メイルだけで伝えられたなど。)、
□⑨性的交渉や
□⑩妊娠及びその中絶の有無等一切の事情を考慮して決める。
損害額は100万円以下ぐらいになることが大多数である。

以下具体的に判例を記載すると、
東京地方裁判所判決・平成19年(ワ)第7441号婚約破棄
1被告は、原告に対し、100万円及びこれに対する平成18年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求を棄却する。
3訴訟費用は、これを3分し、その2を原告の,その余を被告の各負担とする。
4この判決は、第2項を除き、仮に執行することができる。

上記事実によれば、原告と被告との間においては、遅くとも平成18年4月10日までに婚約が成立していたところ、被告は、同年5月27日までに一方的に原告に対して婚約の解消を通知するとともに同居中であった原告宅から退去して原告との婚約を破棄したものというべきであり、被告には、婚約不履行の不法行為が成立するものというべきである。

そして、原告は、被告の上記不法行為によって精神的苦痛を被ったものというべきところ、
□①原告が被告との婚約期間中に被告と同居して妊娠し流産したこと,
□②被告の婚約不履行の動機が原告以外の女性との交際にあったとうかがわれること,
他方
□①原告と被告とが知り合ってから婚約破棄に至るまでの期間が5か月余りにすぎないこと。
□②原告が被告との婚姻の準備のために特別の経済的出えんをした事実はうかがわれないことなどの諸事情を総合考慮すると、
原告の上記精神的苦痛を慰謝するための慰謝料の額は,100万円が相当である。

3よって,原告の請求は,不法行為に基づき,被告に対し,100万円及びこれに対する不法行為後の日である平成18年5月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
東京地方裁判所民事第24部
裁判官  矢 尾   渉

上記の判例において、
① 交際期間が長く、
② 婚姻のための準備(結婚の準備など)をしていれば、
慰謝料の金額は上がると考えられる。

2、損害の範囲

(1)物的損害

婚約披露の費用、仲人への謝礼金、結婚の支度金(結婚衣装や家財道具等の購入費用、婚約破棄に伴う物的損害新居の準備、解約損害金、結婚式場や結婚披露宴、新婚旅行等のキャンセル料、不当破棄のショックによる病気の治療費、苦しみを除去するための旅行費用)、損害回収のための弁護士費用

*主に結婚式などの準備までしている場合は損害額が大きくなる傾向にある。

(2)精神的損害

不当破棄の時期や方法・相手方の性格、不当破棄によるショックの深さ、回復に至るまでの期間や経過等を総合的に考える。

3、損害賠償対象者

(1)婚約者内容証明郵便による請求
(2)婚約破棄の一端を担った第3者
①近親者
②恋のライバル
①に対しては認められやすいが、②に対しては、未だ婚姻関係にないため、自由恋愛として認められにくい傾向にある。


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